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ヒーロー特製メニュー(トライ・ザ・ヒーロー・スペシャル) セイバートゥース この後、チームがブラザーフッドのカードを使用できる。そのカードの攻撃力は1増加する
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【ヒーロー名】 サルブラザー 【読み方】 さるぶらざー 【変身者】 猿原真一 【変身アイテム】 ドンブラスター 【変身コール】 「アバターチェンジ!」 【声/俳優】 別府由来 【スーツアクター】 竹内康博 【登場作品】 暴太郎戦隊ドンブラザーズ 【初登場話】 ドン3話「あかりどろぼう」 【詳細】 猿原真一がサルブラザーアバタロウギアとドンブラスターを使って変身する『ドンブラザーズ』の「青」の戦士。 変身と共にサルのアバターを宿す。 剛腕を活かしたパワープレイが得意。 上半身の側には毛皮のような装飾がある。 変身武器を兼ねる銃のような「ドンブラスター」で相手への攻撃を行う。 戦闘では独自の専用武器などはない。 歴代戦隊へ変身する際は「青」関連の戦士となる。 更にサルブラザーロボタロウギアを使うことで、サルブラザーロボタロウというロボに近い形態へとチェンジする。 必殺技は不明。
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ノーマディック・アサシン (ノーマディックアサシン) モンスター・星4・風 戦士族・シンクロ/効果 攻撃力2000/守備力 600 チューナー+チューナー以外の「ノーマッド」と名のつくモンスター1体以上:このカードを戦闘で破壊したモンスターはダメージステップ終了後に破壊される。 ノーマッドシリーズのシンクロモンスターの1体。レベル4のシンクロモンスターの中では攻撃力が高めでアタッカーとして使用でき、戦闘破壊したモンスターを道連れにできるのでなかなか優秀なモンスター。 ただ、速攻で高レベルシンクロモンスターを特殊召喚できるノーマッドの中では使用回数は少ない。ノーマッドの主力モンスターのレベルは3の為、あまりレベルが合わないからというのもあるが。どちらかといえば、ユニオンモンスターからの特殊召喚が多い。 関連項目 ノーマッド
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貨物列車のような一撃(ヒッツ・ライク・ア・フレイト・トレイン) ジャガーノート キーパー チームがブラザーフッドのカードで相手にダメージ2以上を与えたとき、このキーパーは最大ダメージ3の攻撃を相手に与える
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はた迷惑の乱暴者(ブル・イン・ザ・チャイナ・ショップ) アボミネイション キーパー チームがブラザーフッドのカードで相手に2以上のダメージを与えたとき、このキーパーは相手にダメージ2を与える
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《生命を奪う邪龍》 効果モンスター 星9/闇属性/ドラゴン族/攻2700/守2400 「非道なる龍」+「力を酷使する龍」+「血を好む龍」 このカードは対象を指定しない魔法・罠の効果では破壊されない。 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、 魔法・罠の発動をする度に互いのプレイヤーは800ポイントダメージを受ける。 Part13-129 名前 コメント
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大きいお友達(プレイング・ウィズ・ザ・ビッグ・ボーイズ) ジャガーノート セイバートゥース この後、チームがブラザーフッドのカードを攻撃力を2増加した上で使用できる
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┏━━━━━━━━━━━━━━━┓ ≪クラス≫:アサシン┣━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━┓ 【真名】:東郷重位 【レベル】:40 【属性】:秩序・中庸┣━━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┳━┻━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┓ 【筋】:B(40) 【耐】:D(20) 【敏】:B(40) 【魔】:E(10) 【運】:B(40) 【宝】:B+(40)┣━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┫ 【特徴】:英霊 【貯蔵魔力】:100/100┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ ,...-==≦--<_ rく <⌒ ヾV////ハノノ彡 彡'⌒ /,イ / |ヘ彡゙Y ヾ、__ / / 〉/ィぇァ'| リし/ ハ ⌒7`ー -- 、 { . . { . /_| | ト-ヘハリ| . .|/ . . . . . . . . . . . 、 _____ .... へ、_ へ、--─ 、< .`> ." .|}`ヽ jノ . . .ノ ノ . .厂 ̄ ̄`ヽ、/ . . \. ___r┬< ̄ ̄ . . . . . . . . . . . . . . . . . . \ . . . . .\ . . . . . \ .`> ." . L _/{`ー .、 ヾノ . . . . . . . . . . / . //へ 弋ー―= '' " }ト.\\. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .丶 . . . . . \ . . . . . \ . . . . . . . . . . . . . `Y三才 . . . . . . . . . . . /∠彡イ/ . ヽ. 厶≧≠ー-ノ __丿ー\\\. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .,ィテテハ、 . . . . . . . . . . . 彡ヘへへ、__r‐、-=二二ニ=─ .ハ ノ厶く//______ ≧──====ニニニニ二二二 ̄ ̄ ̄入(( いZZZZZZ7 / / / r┬ `ヽ ヽ ヽ . . . . . . . . . . . . . . } ∠二二二二二二ニニニニ=== ──  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ー"´`ヽ . . . r‐ヘヽヽヽ入_>=彡| . | . | . . . . . . . . . . . . . . .j  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ∨ .  ̄ ̄{ ̄ ̄ . . . . . `V ./ ./ . . . . . __三二才 ∨ . . . . . ヽ . . . . . . . . . . . .  ̄/ ̄ ∨ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ′ く二二才{ . . . . . . . . . . . . . .〉 . . . . . . . . . 〉__彡′イ _____j\、、_〈 . . . . . ィ「 ̄|入__,ハ \ . . . .\圭{{_}}圭彡| `ー〈,,,∧ 厂 ̄二ニ=─/\─=彡ヘ、__∨ ∧ . .< . . . . . . . . . . . . / . . . . . .\ . . . . . . .`ヽ . . . ∨ ∧ . .< . . . . . . . . . . . . . . . . . / . . . . . . . . . . . .\ . . . . . . . .\ . ∨ ∧ . .< . . . . . . . \ . . . . . . . . . . . /. . . . . . . . . . . . . . . . . . \ . . . . . . У ∨ ∧┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【クラススキル】 ◆気配遮断 D (分類:体術 タイプ:任意) サーヴァントとしての気配を断つ。 【最初のラウンドでの、敵陣が選択したステータスに「-10」する】┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【保有スキル】 ◆宗和の心得:B (分類:体術 タイプ:任意) 同じ相手に同じ技を何度使用しても命中精度が下がらない特殊な技能。 攻撃が見切られなくなる。 【自陣が選択したステータスを、これまでのラウンドで既に自陣が選択したステータスに変更する事ができる。】 【この効果は1戦闘中に1度だけ使用できる】 ◆上意討ち:A (分類:特殊 タイプ:常時) 生前、十九回にも及ぶ上意討ちを成功させてきたという逸話がスキルとして昇華されたもの。 マスターが予め指定した相手と戦闘を行うとき、ステータスがアップする。 その時相手が悪属性であったり、悪行を犯したりしていた場合は効果が上がる。 【敵陣営への襲撃を行った場合、勝率「+20%」】 【敵陣が悪行を行っていた場合、この効果は勝率「+30%」に変更される】┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ ,.∠ _, `ヽ-、 /-― ヽ 'r‐' ...ヾヾヾ ヽi /,.- ミ` ヾヾ、 ; ノ 7 三ミ ヾ -, ,、_ ヾヾヾ ノ/ノ ノ ∠/ ,. -‐、 ヽ// ヽ. r、 ヾヾ= "~^ /-ァ .∠/ .//⌒i l ,-‐'" ̄// | | `ヽ _ 、- | く .,. -、 , -―‐フ/ / '⌒) l ノ ‐-、// l l;;;; | l三l ヘ ヽ、. / ヽ `ヽ_/ / _ヽ.ヽ_ (. i //=、__ l l ;;; , -.!.l三 / ヽ ! _./ \/ // / ヽ ,,_ヽ ヾ ヽ=r,テ=、ノノ ;;; /三.! l / l l,-' ヽ \ // \_,ノ| ヾ // `ー‐'//,ノノ,/ツ.フ| |`'" .! l ヽ \ ;;; ! ;// .三// ', ̄ 三.! | | |. ヽ \ ;; | .// // ', 三ノ| l. | l. `‐- _ \ ;;;; ゙、// // ', / | j l | ー- 、 \ ..;;; 〃 // .___',く / / | | ヽ \ ;; 〃 ;;ヽ /,.......... ...ゝ .//`ヽ _ | | / / ;;;;;;ヘ, 〃 ー┬''/ // 、 | | ゙、 / _,..⊥'_ i/ /, 、_.レノ ゝ‐' ` ー- _∠∠___`ー、... -― ''"゙¨フ /⌒ 三≡  ̄ ノ ./ミミ ヽ三三≡_..... /', ,. -―く三三 \ / ー- ....___... -‐'''"ー┴-- .._ ノ `r 、三. \ { ヽ ヽ  ̄ `''―- 、__ ,.-‐''" ,゙ \ \ l `ー、______)  ̄ ー- .._ / ll | \ \ヽ、______./ ` ー 、_ ヘ l|l ! \ \ / `ヽ | | ,'ヽ | \ \-‐''" _/ / ! .,' | l \ \ __ -‐''" | l | l_... -― ''" ̄ \ ヾ\ _ -―'''" | | ! | _______.\ ヾヾ\___________,. --― ''"┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【宝具】 ◆『薩摩示現流・雲耀の太刀(サツマジゲンリュウ・ウンカイノタチ)』 (分類:体術 タイプ:任意 消費魔力20) ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:1~3 最大捕捉:1~2人 「二の太刀要らず」という薩摩示現流の一撃特化剣術としての真意がそのまま宝具となった。 戦闘開始時、初太刀を放つ際に自動的に発動する。 筋力が大幅に強化され、斬撃によるダメージも異常なほど増加する。 剣速も雷速の10分の1(レールガンの2倍程度)まで高速化され、その威力たるや 防御しようとしても防御ごと真っ二つに叩き切る豪快な一撃であり、まさに必殺。 対処法は唯一つ。示現流と退治した際の定石通り「初太刀は回避」するしかない。 しかし示現流の、“その一刀で敵を両断するか、さもなくば倒される”という性質上、攻撃が回避されれば著しく不利となる。 そしてその一撃を回避されると、もう同じ相手に対してこの宝具は使用不可能になるという弱点もある 【その戦闘で最初に選択されたステータスに「+20」のボーナス修正を加える。】 【またこの効果を使用して「戦力の優位」を得た場合、自陣の勝率に「+30%」の補正を得る。】 【ただしこの宝具を使用した上で「戦力の劣位」を得た場合、自陣営の勝率に「-20%」】┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ __ -‐=;7;7;7;/;/;/;ミx ノ;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;, ノ;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;j;;,,. (;j;j;j;j;j//^''ミ/l||^^^ヾヽ^7j;j;j;j;j;,. j;// // l|| / ̄'ヽⅦ;j;j;j;j;,. /// //二¨ヽ . l|| ≦r.咎ャ Ⅶj;j;j;j;, /// //斗z吏” l|l ., `¨¨ l }| };j;j;j;j;j;. /// // , '" } l|| `゙ l || };/^ヾ { { { { { ヽ. 〈 l|| l ||/.ヾ勺/ { { { l l ハ 〉鹽x. l||ーy'^〉 l || /_,从 { { { { ∧ノ゙)\\l|//〉 l || /;j;j爪 { { { l{ .,//../ /|/..イ . l./||/ ;j;抓 { { l{ | / ./ / // / l || ;i;j;j|. l! | ./ ./ / リ ;i/刈 | / / ./ イ . 从;刈. j / / / /ー‐ 彡___」__. / ,/ ,/ ′ ..[二二二二二≧ 人 / ! . [二二二二二二!. /] ヾ ノ ._..ィ[二二二二二二≧=- /;ニ] イx___/[二二二二二二二二二二二二 /二二从\. 〈KKKKi[二二二二二二二二二二二二 .イニニニニ∧ ≧=√イKKKK[二二二二二二二二二二二二...≪二二二二二二∧_∧ KKKKK[二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニ ∧//∧kKKKK[二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二∧//∧KKKK[二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二\/KKKK[二二二二二二二二二二二二┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【来歴・設定】 東郷 重位。薩摩藩の剣法師範。 京都天寧寺の僧善吉と出会い、国に戻り立木打ちを日に何千回も行い極意を得たとされる。 島津家久から流派名を変更するよう命じられたので自顕流から名を変え示現流になった。 刀を持つ時は(示現流の仕様上)基地外染みた奇声を上げて切りかかる修羅であったが、 普段はきわめて礼儀正しく物事を荒立てない人格者であったといわれ、 薩摩藩家老から島津家内部の密事に関わる相談事を受けることも多々あった。 上意討ちもかなりの件数頼まれており、その全てを果たしている。 示現流の極意とは、打ち込む太刀の速さが雲耀に達する事と言われているので雷速であるという。 設定としては、普段は礼儀正しく武人としては非常に人格的な温厚者 でも刀を持っていざ戦闘になると人が変わる。二重人格化ってくらい変わる 鬼の形相で「チェストォー!」叫びながら突貫する で、敵の返り血浴びて真っ赤になりながら戻ってきてマスターに今日の夕飯は何がいいか、とか聞いちゃう 【聖杯への願い】 受肉。受肉して「真の雷速の太刀」を習得するために修行するつもり┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 元々はセイバーだったけどアサシンにクラスチェンジして登場。 コンセプトとしては示現流と気配遮断で初手を確実に取り 宗和の心得で同ステータス選択、二手目もいただくっ!という感じ。 ペナ付きだけどその分強力かつ省エネな対人宝具搭載。 それでいて性格も人格者という良サーヴァント。 しかし今回は運に恵まれず、戦闘では活躍できず。 一方蒼崎狙うマンだった跡部とキル夫の血を継いだねらう緖を結びつけるという重要な役割をこなす。 彼の男としての潔さには、セイバーさんも感じ入るものがあったようです。
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「おかえり、マスター」 夕方、アルバイト先から帰宅した海堂を出迎える声があった。 視線を向けるとダイニングキッチンに男が立っており、穏やかな笑顔をこちらに向けている。 痩身だが頼りない印象はなく、黒衣の神父服に包まれた肉体には男らしい線が浮かぶ。 「おう、…ただいま」 海堂はおどけた調子で答える。在りし日の友人と目の前の神父が重なった。 「食事は用意してある。冷蔵庫に棒棒鶏を作り置いておいたから、良かったら……」 気忙しい様子で神父は話し始める。神父が指差すと海堂は軽やかな足取りで冷蔵庫に向かった。 冷蔵庫の扉を開けると、大皿に盛られた棒棒鶏が一角を占領しており、丁寧にラップがかけられている。 「おっおっおっ……旨そうじゃ~ん。流石は俺様のサーヴァント」 宝物を発見した海賊の身振りでアサシンを労った。 彼の清廉な雰囲気と纏った黒衣からは生活感を感じられないのだが、いつも専業主夫の真似ばかりしている。 それが海堂にちぐはぐな印象を与える。 「ハハッ、喜んでもらえたなら何よりだ」 「行くんか、アサシン」 感情の籠らない口調。この神父は召喚されてからずっとこうだった。 日中は部屋の留守を守り、海堂が帰ると入れ違いになるように出ていく。 外で何をしているのかは海堂も理解している。 「…あぁ、出掛けてくるよ。何かあったら…」 気まずさを滲ませつつ、アサシンは柔和な笑みを海堂に向ける。 「分かってるって。ちゅーか何度も言うんじゃねぇ」 冗談めかして言葉を遮る海堂はビシッとポーズを決め、右手を掲げた。グローブの隙間から令呪が覗く。 「ごめん、ごめん。それじゃ」 アサシンは静かに部屋を出て行った。 ☆ 市内にある広告事務所。90名の社員を抱える制作会社はキャスターの手によって、魔術師の陣地に作り変えられていた。 この会社に働いていたスタッフは陣地構築のための燃料にされており、使い魔の獣人が代役となって種々様々な業務をこなす。 元は社長室であった工房で作業に没頭するキャスターは不意に顔を上げ、部屋中に視線を走らせた。 ――魔力炉にヒビが走った。 正確には魔力炉の核…絡み合う軟体生物の触手めいたチューブの隙間を通り抜けたらしく、鈍く光るエッジが核に突き刺さっている。 完全には破壊されていないが魔力生産量は大きく低下した。 魔力炉の修復には少なくない時間を要する事を察した壮年のキャスターは眉間に皺を寄せて、エッジが飛来した方向に視線を向ける。 一方、同室していたキャスターのマスターは社会において財を成した一廉の男であったが、同時に神秘に対して免疫を持たない一般人であった。ゆえに。 「ひぃッ……!?」 熊の如き体躯と厳つい顔からは想像できない、狼狽えた声だ。 『まるでこの世は荒れ果てた庭。下劣だけが、我が物顔で蔓延っている』 墓場の静謐さと虚無を孕む声が工房に響いた。工房の一角にできた闇の中に髑髏が浮かぶ。 キャスターは鋭く目を細め、マスターの男は落ち着きなく視線を泳がせる。 「アサシンか…」 短く、マスターに聞かせるように言った。 「う、こ、……ここは任せた!!」 キャスターのマスターはアサシンを視野から外さないよう、横伝いに動く。 出口が近づくと二人に背を向けて脱兎のごとく駆けだした。 『なんと不埒で、情けない人間か』 アサシンは敵マスターに一瞥もくれない。 「切る手間が省けたとでも思うさ」 置き去りにされたキャスターはマスターが逃げた方に向かって小さく顎をしゃくると、顔に刻まれた年輪を嘲笑で歪めた。 仮面と視線が交わると表情を消し、口元を高速で動かしていく。それを見たアサシンもまた魔術師の視界から姿を消した。 『…フン!』 「大洋の果てに住まう主の御名において、汝に厄災を与えん…」 キャスターの詠唱と共に工房の壁や床から、烏賊や蛸の触手を電柱並に拡大したものが飛び出す。 これは彼がとある邪神に臓腑の一部を捧げた時に賜った恩寵の一つであった。 触手が蠢くと同時に工房の床が水に浸かり始め、徐々に水位を上げていく。潮の香りが部屋に満ちる。邪神の住まう大海の景色が工房内に再現されようとしていた。 アサシンは工房内を跳び回り、キャスターに接近する。 工房の主を守る様に出現した触手を跳躍して避けると外套から取り出した槍を魔術師の心臓に突き立てた。 水位は既に成人男性の腰あたりまで上昇している。 『すべきこともせず、一炊の夢に耽るか』 海水が引いていく工房で、心臓を貫いたアサシンが静かに語りかける。 「―ふっ、ふはははは、アハハハ…」 キャスターは振り上げた腕を下げると一つ息を漏らし、暗い愉快さの滲む哄笑を上げながら消滅した。 主を失うとともに工房は急速に崩壊を始める。触手は肉片となって崩れ落ち、引いていく海水に混じって床に吸い込まれる。 潮の香りだけが名残惜しそうに部屋に満ちていたが、アサシンが姿を消す頃にはそれも消え去った。 「―はァ!?」 出口に達する目前、男の前にアサシンが姿を現す。驚愕の声を上げると倒れるように座り込み、思わず股間を湿らせた。アサシンは男から一歩後ろに下がるとその場から姿を消した。 「あ、ありが…」 アサシンが姿を消すと跪いたような姿勢で這って進み、男はたどたどしく礼を述べる。 『こうして命を延ばしても、おまえの病が長引くだけだ』 弱々しい感謝の言葉がアサシンの声によって遮られる。後には力なく座り込む男がひとり残された。 ☆ アサシンが部屋を出た後、しばらくしてから海堂も外に出た。 当てもなくバイクを走らせていたが、川の近くを通ると道端で停車した。海堂は土手に身を横たえる。 既に日は落ちており、夜空に月が浮かんでいる。今日は三日月のようだ。 海堂がしみじみとした表情で月に右手を伸ばすと。 ≪主よ≫ 「おーっ!」 アサシンの念話が飛んできた。海堂はびっくりして上体を起こす。 左右に首を振り向けるが土手には自分しかいない。 ≪ばっきゃろう!いきなり声掛けんじゃねー。俺様がこう、センチメンタルに浸ってる時にだなぁ…≫ ≪…月の彼方に何が見える?主よ…≫ 立ち上がり、アサシンを叱りつけるが気にした様子はない。 彼はいつもこうなのだ。宝具である仮面を身につけている間は別人のような態度・口調をとるようになる。変な奴だなぁ、と海堂は常々思っていたが、今では仮面を被ったアサシンともしっかり意思疎通が取れている。 流石だよなぁ、俺。海堂の気分は少し良くなった。 路肩に止めたバイクにつかつかと歩いていった海堂は、シートに腰を下ろす。 ≪あぁ?月しか見えねーよ…≫ 面倒臭そうに夜空を見上げるとバイクにエンジンを掛け、すぐに自宅に向かって走らせた。 【クラス】アサシン 【出典】スカルマン(アニメ版) 【性別】男 【真名】神崎芳生 【パラメータ】筋力C 耐久D 敏捷A 魔力E 幸運C 宝具B+ 【属性】秩序・悪 【クラススキル】 気配遮断:A サーヴァントとしての気配を絶つ。 完全に気配を絶てば、探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。 【固有スキル】 心眼(真):C 本来なら修行・努力によって培われる洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す"戦闘論理" 逆転の可能性が数%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。 アサシン個人に由来するものではなく、宝具によってもたらされたスキル。 蔵知の司書:C 宝具展開時、前装着者の記憶・意思を受け継ぐことが出来る。 LUC判定に成功すると、仮面が記録した知識、情報が脳裏に再現される。 怪物殺し:C 人外の属性を持つ敵と戦う際に、行動判定の成功率を上昇させる。 無力の殻 A(-) 発動中は身体能力が一般人並みになり、無力の殻を除く全スキルが使用できなくなる。その代わり、サーヴァントとして感知されなくなる。 『仮面が語る寓話』使用時のみ、カッコ内のランクに修正。このスキルの効果は消滅する。 【宝具】 『仮面が語る寓話(スカルマスク)』ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1(自身) 数千~数万年前に存在した古代文明の遺物である「頭部体」。新人類と呼ばれる存在の力を制御するために必要な代物だが、人間が使うと超人的な身体能力を得られる。 ただし展開しても肉体の強度が変化しないことに加え、身体への負担が大きいので使い続けると生命の危険がある。サーヴァントとなった事でこのデメリットは消失した。 また装着時は仮面の記憶が流入するため、Bランク相当の精神耐性が付与される。 マスクの口元を閉じることで更なる力を発揮できるが、アサシンが使用した逸話は確認されていない為に制限されている。 【Weapon】 宝具展開時は専用の衣装のほか、ナックル、伸縮式の槍、ニードル、ナイフを携帯できる。また大型バイクを出現させる事が可能。 【人物背景】 第二次大戦後に我々とは異なる歴史を歩む日本の地方都市・大伴市では古代文明の遺産を利用した「ガ號計画」が密かに進められていた。 同じ頃、市内で髑髏仮面の怪人が殺人を行うという噂が流れる。 その怪人の正体である神父。大伴市で孤児院を営む傍ら、計画によって生まれた獣人を人知れず抹殺していた。 かつて従軍した南亜戦争の地獄のような有り様に信仰心を失いかけるが、戦場を彷徨う中で計画に抗う獣人の兄弟と出会い、彼らを保護する。 先代神父の手紙によって真実を知った彼は信仰心を取り戻し、人の手に余る古代文明の遺産を破壊するために髑髏の仮面を被った。 正体を突き止めた幼馴染・御子神隼人に真実を伝えるもサイボーグ集団の襲撃に遭い、重傷を負った彼は仮面を受け継いだ隼人に看取られて死亡する。 【聖杯にかける願い】 ? 【マスター名】海堂直也 【出典】仮面ライダー555 【性別】男 【Weapon】 なし。 【能力・技能】 「音楽の才能」 クラシックギターにおいて天賦の才を持っていたが、事故によって指に怪我を負った。 現在はギターを上手く弾くことが出来ない。 「スネークオルフェノク」 人間が一度死ぬことで覚醒し、蘇る事で生まれる人類の進化形態。 事故などによって死亡した人間が稀に変化する「オリジナル」の他、オルフェノクは「使徒再生」によって適性のある人間を覚醒させることが出来る。 生前と同じ姿をしているが、自らの意思によって高い戦闘能力を発揮できる怪人の姿に変身する。 海堂は蛇の特性を備える使徒再生のオルフェノクである。2本の小剣が武器。 【ロール】 クリーニング屋のバイト。 【人物背景】 音楽学校で将来を有望視されていた天才ギタリスト。 才能を妬んだ教師の罠によって怪我を負い、自暴自棄になっていたところをオルフェノクにされる。 海堂自身は紆余曲折の後、音楽学校の後輩・黒田に自らの持てる全てを伝授してギターを捨てた。 その後は人間と敵対しないオルフェノクである木場勇治・長田結花と行動を共にするようになる。 次第に木場が唱える「人間とオルフェノクの共存」に理解を示す様になっていったが同じ頃、彼は長田の生命を奪った人間に絶望・憎悪し「人類の抹殺」に趣旨替えしていた。 木場と袂を分かった海堂はオルフェノクの王・アークオルフェノクを倒す最終決戦に参加。戦いの中で木場とも死に別れ、全てが終わった後一人でどこかに消えた。 露悪的で無責任だが周囲を常に気に掛けている。一時の判断で行動する自由気ままな男。テレビ版50話終了後から参戦。 【聖杯にかける願い】 脱出。できる範囲なら主催者も打倒。
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◆ 《ここでニュースをお伝えします。》 《東京都練馬区在住の女性の行方が分からなくなっています。》 ◆ 最近は女が行方不明になる事件が多い。 毎日そんなニュースばかりだ。若い奴が何人も失踪しているらしい。 捜索を続けてるって言ってたけど、どうせもう生きてないだろ。 他人事でしかない事件に対し、俺は内心毒づく。 夜の街。暗がりに電飾の光が輝く。 焼鳥。魚介。焼肉。ビルから生えた居酒屋の看板が主張を繰り返す。 がやがや、がやがや―――客引きだの、喧騒だの、喧嘩だの。何がなんだか分からない。カオスとしか言いようが無い。街は酷く混濁している。 目の前の大きな道路では、自動車が忙しなく行き交っている。高額バイト、ホストクラブ。訳のわからない宣伝を掲げたトラックが幾度と無く通り過ぎていく。 赤信号。蟻の群れのように夥しい数の人間達が、じっと待ち続けている。 大都会、新宿。歌舞伎町の横断歩道。 横断歩道の先、大通りの奥に見える映画館のてっぺんからは“怪獣の頭部模型”が顔を覗かせる。 そいつは俺達をじっと睨んでいる。この薄汚い街を彷徨う虫けら達を、傲岸に見下ろしている。 だから俺も、そいつを遠目から睨んでいた。 まるで神様みたいだ。天上から俺達を眺めて、大物ヅラしている。 誰のせいでこんな運命になったと思ってるんだ。なあ、おい。 聞いてんのかよ、神様。 信号が、青に変わった。 それと同時に、人々は歩き出す。 サラリーマン共が酔っ払って喋り散らかしている。 チャラチャラしたカップルが手を繋いでいる。 地味な風貌のおっさんがとぼとぼした足取りで進んでいる。 夜遅いってのに、女子高生がスマホ弄りながら前も見ずに歩いてやがる。 ゲーセン帰りの悪ガキ達は何やら大騒ぎしながらくっちゃべってる。 ガラの悪そうな輩は肩を怒らせて図々しく闊歩している。 有象無象に等しい奴らの隙間を縫うように、俺はひとり横断歩道を歩く。 誰も俺を気に掛けたりなんかしない。 俺が何処へ向かうのか、何を思っているのか。そんなのきっと、誰も興味を持たない。擦れ違う人々には僅か数秒だけ一瞥される。ほんの一瞬だけ、そいつらの世界に俺が現れる。そしてすぐに視界から排除される。 俺の存在なんて無かったかのように、やれ夕飯だの仕事だの家族だの遊びだの自分達の話へと戻っていく。 視線を前へと向けた。 人混みの中に紛れる、金髪に染めた若い女の背中を見つめた。 気取ったハイヒールを履いて、扇情的なミニスカートを揺らしながら歩いている。 俺はただ、そいつを舐め回すように見つめていた。 頭痛がする。 脳内が掻き回される。 何か分からない。 ただ、漠然と気持ちが悪い。 俺は一体、何をしているんだろう。 こんなところで燻ってる場合じゃないだろ。 やるべきことは、とっくに識っている筈なんだから。 俺の中で、誰かが囁き続けていた。 ◆ 《警察によりますと、女性は大手IT企業に勤めている28歳の会社員とのことです。》 《女性は午後7時過ぎに勤務先である代々木の会社を退勤したのを最後に連絡が途絶えています。》 ◆ ガキの頃、親父のクレジットカードを勝手に使った。 なんの為に?激レアのプレミア消しゴムを手に入れる為だ。 当時小学校のクラスで消しゴム集めが流行っていた。皆こぞって珍しい代物を見せびらかしていたし、俺もそれに乗っかっていた。 顔も運動も学業も、何の特技も無ければ美点も無い。親しい友人は自宅で飼っていたオカメインコの『まる』だけ。 そんな俺が輝ける唯一のチャンスだったから、収集にしがみついていた。 だからレアな消しゴムを幾つも持っていたクラスメイトが妬ましかった。そいつは金持ちの家の子供だったから、経済力という基盤があった。 たかだか細やかな小遣いしか持っていない俺が敵う相手じゃない。でも、勝ちたかった。だってそれくらいしか俺が活躍できる舞台は無かったから。 だから俺は親父のカードをこっそり盗んで、超激レアの消しゴムをオークションで落札した。10万も費やして。 そいつは永遠に届かなかった。いつまで待っても送られてこなかった。 騙された。どうすればいいか分からなかったし、カードの明細を見た親父からは散々殴り倒された。 俺がそんな風に奔走して、失敗している最中に、いつの間にかクラスでの消しゴムのブームは去っていた。 無価値。無意味。無駄骨。そんな言葉が当時の俺の脳裏を過ぎった。 年月を経て、俺は平凡な社会人になった。 ゲーム制作会社に就職した。ゲームが好きだったから、何となく。その程度の理由だった。 他社のゲームを研究することを会社から指示され、俺は片っ端からアプリに手を付けた。 そんな中で、俺は動物収集のゲームにハマった。レアな動物をガチャで集めていく、人気のアプリだ。 些細なきっかけだった。子供の頃にドードーのレア消しゴムを持っていたから、そのアプリにもSSRのドードーがいたから。その程度の理由だったが、気がつけば没頭していた。 何気なく覗いたユーザーランキング。 そこで“オークション出品者”と再会した。 一字一句、全く同じ名前だった。 小学生の頃、あの激レア消しゴムを出品していた奴だった。 ランキング最上位にそいつは居た。 そいつが同一人物である確証なんて何処にもない。それでも俺の脳内には、電撃が迸っていた。 これは、因縁だ。こいつと決着を付けなくちゃならないんだ。俺はそんな根拠のない確信を掴んでしまった。 俺は課金を繰り返した。ランキング上位に登りつめ、過去の因縁にケリを付けるために。そしてSSレア絶滅動物“ドードー”を引き当てるために。 長い時間――4年も費やした。課金総額、500万以上。 既に自身の異常には気付いていた。それでも止められなかった。 仕事の内容なんて頭に入らない。 周囲の呼び声もどうだっていい。 周りが酷く煩わしい。 うるさい。やかましい。鬱陶しい。 イライラする。苛立ちが抑えられない。 俺の魂は、因縁に囚われていた。 そもそも、これが因縁と呼べるのかも怪しい。 だってこんなの、俺の妄執でしかないんだから。 俺が悪い。俺の自業自得。俺がおかしい。 全部分かっている。知っている。 それでも、後戻りできなかった。 俺はどうなっているんだろうか。 答えは分かっている。ただの病気だ。 頭がおかしいから、このザマになっているんだ。 ある日、俺はついにドードーを引き当てた。 涙が出るくらい嬉しかった。死んでもいいくらいに喜んでいた。 その直後。余所見をしていた俺は、猛スピードで走るタクシーに轢かれかけた。 スマホが吹き飛んだ。 スマホが破損した。 翌日、携帯屋に走った。 バックアップが取れた分は復旧できた。 ゲームのデータも残っていた。 ドードーは消えていた。 破損する直前の記録が、まるまる吹き飛んでいた。 時を同じくして、子供の頃から可愛がっていたペットの『まる』もこの世を去った。 この感じ、前にもあったな。 その時の俺はぼんやりとそう思っていた。 無価値。無意味。無駄骨。 お前って、本当につまらない人生だな。 どうせ何もやることなんか無いんだろ。 だからこんな下らないことに熱中して、何もかも失うんだよ。 俺の中で誰かが囁いてくる。 それはきっと、他でもない俺自身だ。 24年も生きていると、何となく分かってくることがある。 それは、俺という人間が所詮モブキャラに過ぎないということだ。 無料のガチャを回して出てくる、雑魚みたいなノーマル。 いてもいなくても変わらない。 何の価値も無い、カス同然の輩だ。 ◆ 《警察は女性が何らかの事件に巻き込まれた可能性もあると見て、捜査を続けています。》 《それでは、次のニュースです――――》 ◆ 走った。 走って、走って。 ただただ、走り続けて。 必死になって、追いかけていた。 歌舞伎町の更に向こう側。 薄暗いラブホテル街の景色は、視界から一瞬で通り過ぎていく。 人通りの少ない路地は、僅かな街灯にのみ照らされていて。 俺は、そんな風景の中を死物狂いで走っていた。 はぁ、はあ、はぁ、はぁ―――。 呼吸が乱れる。 息が荒れる。 身体が草臥れていく。 胃が、肺が、痛めつけられていく。 それでも俺は、走る。 なにかに取り憑かれたように。 走って、走って、走って。 追いかける。 追い続ける。 彼女を。 目の前で逃げる、あの女を。 気取った金髪の女は、必死に走っている。 先程まで履いていたハイヒールは脱げている。 裸足のまま、恐怖に突き動かされているようだった。 そんな女を、俺はぜぇぜぇと息を切らさんばかりの勢いで追いかける。 雑踏。 路地。 暗闇。 都会の片隅が、残像になっていく。 脳内物質が、バチバチと弾ける。 夜風が、身体を通り過ぎていく。 何でこんなことをしているんだ。 何がしたいんだ。 理由なんてよくわからなかった。 いや、理由なんか必要なかった。 走って、追いかける。 ただそれだけの運動。ゲームと同じ。 ゴールへと向かって走る。何も変わらない。 そう作られているから、そうする。 それ以外の意味なんて無い。 俺はただ、あの女を捕まえたかった。 今の俺なら、何でもできる気がしたから。 走馬灯のように、過去の記憶が蘇る。 今までの失敗。快楽。挫折。絶望。 何もかもが、あべこべになっていく。 鮮明に切り替わる視野の中で、俺は一つの悟りを得ていた。 あの時消しゴム集めに執着したのは必然じゃないし、あの時必死に課金していたのも因縁のためじゃない。 俺がちっぽけな見栄に狂っていた。子供の頃の失敗を延々と引きずっていた。 何の関係もない偶然を、あたかも宿命であるかのように結び付けていた。 ただ、それだけのことだった。 分かっているのに、もう歯止めが効かない。 だから、走った。 走った。走った。必死に走った。 走って。走って、走って。 走って―――――――。 女を、路地裏の袋小路に追い込んだ。 女が何かを叫ぼうとした。 俺は咄嗟に女を押し倒した。 飛び掛かるように、馬乗りになる。 じたばたと女が足掻く。 拳を振り下ろした。 女の顔面に拳骨がめり込む。 ぐしゃりと、鼻に直撃した。 容易くへし折れたのが分かった。 鼻血塗れになって女が喚く。 迷わず女の口を左手で押さえつけた。 もがくように声を漏らす女。 窒息しかねない勢いで、俺は女の口と鼻を覆い尽くす。 手のひらに血の暖かさが滲む。 身に付けていた鞄のポケットを、忙しなく開いた。 ナイフを取り出した。 右手で柄を握り締めた。 女の表情は、見なかった。 見たくもなかった。 手のひらの裏で悲鳴を上げてるのも、聞きたくなかった。 俺が追い詰めたのに。 俺がこんな目に遭わせてるのに。 何故だが、吐きそうな気分になっていた。 聖杯戦争。マスター。サーヴァント。令呪。界聖杯。奇跡の願望器。 頭の中で、様々な情報が渦巻く。 さっきまでの不快感が、落ち着いていく。 嫌悪と恐怖が、感じたことのない高揚と興奮によって塗り替えられる。 これから俺は戦う。 ここでやらずに、どうする。 ゲームのチュートリアルなんだ。 これから殺していくのだから。 そうだ。俺の革命は、ここから再び始まる。 かつて叶わなかった反抗。 俺の殻を破るための儀式。 つまり――――『田中革命』だ。 俺は、ナイフを振り下ろした。 女の額に、刃物が突き刺さる。 どくどくと赤い血が溢れていく。 脳髄を掻き回すような、肉の感触が伝わってくる。 一瞬、声を上げそうになった。叫び出しそうになった。 それでも、俺は声を押し殺した。 勢いよく、刃物を引き抜いた。 そして。再び、振り下ろす。 反復作業のように、何度も、何度も。 ◆ 《東京都千代田区においても、女性が失踪しているとの情報が入っています。》 《警察によりますと、女性は今月×日に――――》 ◆ どれくらいの時間が経ったのかも分からない。 何回刺したのかも覚えていない。 俺はただ、無我夢中になっていたのだから。 女の亡骸を、呆然と見下ろす。 ミキサーで引き裂かれたように、顔面は原型を失っている。 徹底的に切り刻まれ、滅多刺しにされ、赤黒く染まっている。 壮絶な外傷によって、右目の眼球が飛び出しかけている。 もはや誰なのかも判別がつかない。 元々の美貌だって台無しで、何もかもぐちゃぐちゃだ。 そんな状況を前にして、俺は呑気にナイフの血をハンカチで拭う。 いそいそと拭き終えてから、赤く汚れたハンカチを鞄へと突っ込んだ。 ふう、と一息を吐いて。 返り血まみれになったパーカーを、俺は呆然と見下ろす。 汚してしまった。どうしようか。そんなことをぼんやりと考えていた。 初めて殺人を犯したというのに。 恐怖で雁字搦めになりかけていたのに。 それなのに、頭は冷めきっている。 脳内に刻まれた未知の情報に対する昂揚感が、俺の感覚を麻痺させていた。 俺はとっくに何かがぶっ壊れた。 再び、俺の脳裏に過去の記憶が蘇る。 消しゴム集め。 アプリのガチャ。 何もない人生を、常に一瞬の快楽で埋め合わせようとし続けた。 実像の無い、虚しい快楽だった。 何をしても満たされない。 だからずっと、目先の欲求にしか執着できなかった。 掴めばすぐに消えてしまう。そんなちっぽけな快感、勝利。 なんの意味もない。ほんの十数秒だけ得られる、麻薬のような快楽。 その一瞬だけ、必死に扱いて射精した時のような愉悦感に到れる。 そう、一瞬だけ。 それが終わった後は、虚脱感。 そして脳内でいつもの言葉が反復する。 ―――――で?それが何? 虚しさだけが込み上げてくる。 努力とか、経験とか、そうして掴めたものなんて一つもない。 パチンコで散々金をスッた直後に得られた、なけなしの景品。それと同じだ。 何の得にもならない。結局は何の糧にもならない。無駄。無駄無駄。ただただ、無駄なだけ。 だから俺は、いつまでも満たされない。 だけど、もし。 神様がこの世にいるとして。 奇跡のような巡り合わせを、気まぐれに与えてくれたら? そう思った、その矢先。 俺は迷わず、視線を上げた。 暗闇の宙に、そいつは漂っていた。 それは一枚の写真だった。 まるで風船みたいに浮かぶ写真の中から、白髪の老人が身を乗り出していた。 そう、写真から飛び出しているのだ。 まるで幽霊か何かのように。 「……誰だよ、あんた」 どう見ても異様な光景だったのに、俺は不思議と冷静だった。 「きさまがマスターじゃな……!」 老人は俺の言うことを無視して、一人で呟く。 俺は、右手の甲を見つめた。見覚えのない紋章がそこに刻まれている。 これが、参加者としての資格。そういうことらしい。 「よく聞け若造ッ!『聖杯』さえ掴めばあらゆる願いが叶う!富や名声だろうと心の平穏だろうと全て望みのままなのだッ!!」 そして―――老人は、畳み掛ける。 熱の籠もった口調で、何処か狂的に。 「わしは『わが息子』に必ず聖杯を掴ませると誓った……そのためには若造、マスターであるきさまの存在も不可欠!」 悲しみ。苦悩。怒り。誓い。 様々な感情を入り混じらせて、老人は喋り続ける。 「きさまのサーヴァント―――『わが息子』は人を殺さねばならないサガを背負っている!社会が息子を追い詰める限り!英霊の座という檻に閉じ込められる限りッ!息子に“真の平穏”は訪れない……」 この年寄りの事情なんか、何も知らない。 こいつが何を言いたいのかも、理解できない。 興味も無い。だけど、感じ取れることはある。 多分、こいつは―――俺の味方だということだ。 「『聖杯』を手に入れる為に戦え!!どこまでもハングリーになって自らの『欲望』を追い求めるのだッ!!」 老人は、俺に対してそう告げて。 そして直後に、夜の影に溶け込むように姿を消した。 再び、静寂がその場を支配した。 俺と死体だけが、そこに取り残される。 まるで案山子のように、その場に立ち尽くして。 暫くの間を置いてから、俺は鞄の中を覗き込んだ。 ナイフと共にしまいこんだ“それ”を、虚ろに見つめた。 ペットの『まる』を埋葬したあの日―――俺は偶然にも力を手にした。 拳銃。人の命を奪うための道具が、公園に埋められていた。 何でこんなところに。誰がやったのか。そんなのはどうだって良かった。 そして、この現状。聖杯戦争。勝ち残ればどんな願いでも叶う。 あの拳銃を手にした直後、俺はこの世界に迷い込んでいた。 ピンチの時こそ最大のチャンスが訪れる。追い詰められれば必ず救済措置がある。ゲームとはそういうものだ。そうプログラムされている。 神様。クソみてえな神様。 アンタに言ってんだよ。 これが、俺への救済措置ってわけか? 思う存分、今までの元を取り戻せって。 そういうことだよな? おい、神様。これも運命か? 勝ち残れ。今度こそ価値のあることをしろ。 そういうお告げなんだよな? 神様よ。 ボンッ。 唐突に耳に響く、小さな爆発音。 視線を、ふいに下ろした。 いつの間にか、死体は跡形もなく消え去っていた。 俺はただ呆然と立ち尽くして。 そして路地の暗がりへと溶け込んでいく“人影”を見た。 その手に握り締められていたのは、“女性の右手”だった。 死体の手首を切り取り、持ち帰った。 残された肉体は木っ端微塵に吹き飛ばした。 そんな常軌を逸した状況を目の当たりにし、俺の脳裏で“あのニュース”がフラッシュバックした。 ああ、そういうことかよ―――。 俺は笑みが止まらなかった。 これから人を殺していくんだ。 だから俺のもとに、“殺人鬼”がやってきたんだ。 なあ、神様。 最高じゃねえか。 ◆ 《東京都在住、20代女性の行方が――――》 《先日未明、30代女性が消息を――――》 《銀行員の××さん(29)と連絡が取れず――――》 《大学生の××××さん(20)が現在――――》 《この女性を探しています ×月×日を最後に行方不明》 《#拡散希望 妹の行方がわからなくなっています》 《次のニュースです。会社員の女性が―――》 《朝のニュースをお伝えします》 《ただ今入ったニュースです》 《この人を探しています!》 《この人を探しています!》 《この人を探しています!》 《この人を探しています!》 《この人を探しています!》 《この人を探しています!》 ◆ 【クラス】アサシン 【真名】吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険 【属性】中立・悪 【パラメーター】 筋力:E 耐久:D 敏捷:E 魔力:C 幸運:A 宝具:C 【クラススキル】 街陰の殺人鬼 A 気配遮断の変容スキル。 他主従から魔力の気配を一切探知されず、またマスターによるステータスの視認をシャットアウトする。 例え町中を堂々と闊歩しようと、彼はサーヴァントとして認識されない。 戦闘態勢に入っている最中のみスキルの効果が完全解除される。逆を言えば『猟奇殺人』や『暗殺』としての行動ならば、例え宝具を発動しようともスキルの効果が持続する。 【保有スキル】 精神汚染:B+ 吉良吉影は狂気を飼い慣らし、抑え難い欲望と共に日常へと溶け込んできた。 同ランク以下の精神干渉を無効化するが、時に“美しい手を持った女性”に対する殺人衝動に駆られる。 追跡者:B 「殺人の標的」「自身の正体を探ろうとする者」を直接認識した際、以後その対象の気配を探りやすくなる。また対象に危害を加える際には先手を取りやすくなる。 このスキルは宝具『血が絆を分かつとも』で召喚された“写真のおやじ”にも共有される。アサシンと“写真のおやじ”のどちらかが標的を直接認識さえすれば、もう片方も本スキルの恩恵を受けられる。 窮地の運命:A ピンチに陥った際にチャンスが訪れるスキル。 戦闘突入時に自身の幸運値判定にプラス補正が掛かり、更にアサシンの真名を知った相手に対しては攻撃や逃走におけるクリティカル判定の成功率が倍増する。 【宝具】 『彼女は殺戮の女王(キラークイーン)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~4 最大補足:1 傍に立つ精神の化身『スタンド』。近距離パワー型に分類され、「筋力 B 耐久 D 敏捷 C」相当のステータスを持つ。 触れたものを爆弾に変える能力を持つ。爆弾に変えられるものに制限はないが、爆弾化出来るのは一度に一つまで。 起爆方法は「地雷のように何かが触れることで起爆する接触型の爆弾」か「スタンドの右手のスイッチで起爆する着火型の爆弾」のどちらかを指定可能。 また、爆弾に関しても「爆弾自体が爆発するタイプ」と「爆弾に触れた者が爆発するタイプ」のいずれかを指定できる。 一度爆弾の設定を決めたら爆破させるか一旦爆弾化を解除するまで変更出来ない。 爆弾化した物質に外見や構造面での変化は起きず、「爆弾」の判別は困難。 スタンドビジョンのダメージは本体にフィードバックされ、キラークイーンが破壊されればアサシンは消滅する。 『彼女を愛した猫草(ストレイ・キャット)』 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大補足:5 キラークイーンの腹部に収納されている植物と猫の融合生物『猫草』。 周囲の空気を自在に操り、空気を固めて防御壁にしたり空気を砲弾のように発射することなどが出来る。 吉良吉影はこの特性を戦闘に利用し、“爆弾化した空気弾”を飛び道具として射出することで攻撃を行った。 生前とは異なり猫草はキラークイーンと完全に一体化している為、如何なる宝具やスキルを用いても奪取することは出来ない。 『血が絆を分かつとも(アトム・ハート・ファーザー)』 ランク:D+ 種別:召喚宝具 レンジ:- 最大補足:- アサシンの現界と共に自動発動する宝具。 実父である吉良吉廣、通称“写真のおやじ”が使い魔として召喚され自律行動をする。 “写真のおやじ”は「気配遮断:B」「単独行動:A+」のスキルを保有し、偵察や隠密行動を得意とする。またアサシンやマスターと念話で交信することが可能。 『殺人鬼・吉良吉影の幇助をしていた逸話』を体現する姿であること、サーヴァントに満たない存在故に異能が完全に再現されなかったことから、写真の中に閉じ込められた状態で現界している。 そのため彼自身がスタンドを行使することは不可能。スタンド使いを生み出す『矢』も所持していない。 また単独行動スキルを備えているものの、アサシンが消滅すれば“写真のおやじ”も消滅する。 【weapon】 スタンド『キラークイーン』。一般人にはスタンドを認識できないが、サーヴァントとマスターにのみ視認される。 なお界聖杯における吉良吉影は“川尻浩作に成り代わった後”の側面が色濃く出ている為、第2の爆弾『シアーハートアタック』は使用不可能。 時空そのものに干渉する『バイツァ・ダスト』も再現されていない。 【人物背景】 吉良吉影は静かに暮らしたい―――。 彼は植物のような平穏を好み、面倒事や気苦労を嫌う。 表向きはこれといって特徴のない地味なサラリーマン。 しかしその正体は『美しい手』への執着心から48人もの女性を殺害してきた連続殺人鬼である。 物語中盤、町を守る“黄金の精神”に追い詰められた彼はある手段によって自らの顔を入れ替えることで逃亡を果たした。 界聖杯においてはバイツァ・ダスト発現後の姿で召喚されており、それ故に顔も“川尻浩作“のものとなっている。 【サーヴァントとしての願い】 英霊という大層な“枷“など要らない。 自らが望む“絶対的な平穏”を勝ち取る。 【マスター】 田中 一@オッドタクシー 【マスターとしての願い】 聖杯を手に入れる。その先のことは何も考えていない。 ほんの一瞬の快楽を凌駕する、究極の絶頂を確かめてみたい。 【Weapon】 拳銃(6発のみ装填、予備弾薬なし)。ナイフ。 【能力・技能】 特に何もない。ゲーム制作会社に所属していたが、際立った技能は持たない。 しかし彼は、ちっぽけな狂気の一線を越えている。 【人物背景】 ゲーム会社に勤務する24歳の男性。 作中では名字でのみ言及され、オフィシャルブックでフルネームが明かされている。 普段は大人しい性格だが、物事にハマるとのめり込んでしまう節がある。 小学生の頃はレア消しゴム集めに夢中だった。社会人になってからは動物収集アプリゲームに没頭した。 執着と病理で雁字搦めになった彼は、ある事故をきっかけに道を踏み外していく。 【方針】 皆殺し。ゲームに勝つ。 サーヴァントだろうと、マスターだろうと、殺す。 【備考】 アニメ4話『田中革命』の終盤、拳銃を手に入れた直後から参戦。 界聖杯でのロールは会社員だが、無断欠勤を続けている。 作中では擬人化されたピューマの姿で描写されているが、界聖杯においてはあくまで人間と見なされ「平凡な風貌をした24歳の成人男性」として他者から認識される。